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胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは

胃潰瘍とは、胃酸などの攻撃により胃粘膜に深い傷ができ、その部分の粘膜が消失して粘膜の下の筋層まで傷が達している状態です。
肉眼で見るとくぼみ状、月のクレーターのような形状をしています。
粘膜が消失していく過程で血管が露出し(露出血管)、その血管を傷つけると出血します。
出血により吐血(血液を嘔吐)したり、黒色便(墨のような黒いベタベタした便で「タール便」ともいいます)がみられたりします。
また、潰瘍が深くなると胃に穴が開く「胃穿孔(いせんこう)」になることもあります。
場合によっては腹膜炎を強く起こして緊急手術が必要になります。
十二指腸潰瘍は比較的若い世代に多くみられます。
胃潰瘍と同様に、胃酸によって粘膜が傷つけられた状態です。
「球部」と呼ばれる十二指腸の入り口に潰瘍ができることが多く、出血しても血液が小腸に流れていくため、吐血よりも黒色便が多くみられます。
十二指腸は胃より臓器の壁が薄いため、穴が開く確率が高くなります。 

胃潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因

①胃酸の攻撃と防御バランス
胃酸には粘膜を傷つける性質(粘膜傷害性)があります。
胃酸による粘膜への攻撃(攻撃因子)と、胃粘膜を守る力(防御因子)の低下のどちらか、もしくは両者が起こること、つまり攻撃と防御のバランスが崩れると潰瘍を作ってしまいます。
体内には胃酸を減少させるメカニズムがありません。
一方、胃酸を上昇させるメカニズムはたくさん存在し、例えばストレスを受けたときのストレス回避ホルモンは胃酸を上昇させます。
そのほかに胃酸を増加させるものとして、アルコール摂取、喫煙、消炎鎮痛薬やステロイド薬の内服などがあります。
また、ストレスと潰瘍は明確に関連します。
動物実験では、過度なストレスを与えると数時間で潰瘍ができることが分かっています。
また、過労や睡眠不足、心配ごとや過度のプレッシャーなども大きく関わっています。
実際には強いストレス+喫煙、消炎鎮痛薬+アルコール摂取など、いくつかの原因が重なることで潰瘍になることが多いです。

②ピロリ菌感染
一昔前までは①のような胃酸の攻撃とその防御のバランスが崩れることのみが潰瘍の原因と考えられていましたが、現在原因として最も多いのはピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)感染です。
胃潰瘍では70%以上、十二指腸潰瘍では80%以上に関与しています。
また、ピロリ菌感染があると胃潰瘍の80%以上、十二指腸潰瘍の90%以上が再発し、除菌すれば再発率はそれぞれ20%以下、5%程度に低下します。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状

潰瘍は粘膜にできた傷が胃酸によって溶けるようにして消失し、粘膜の下の粘膜下層や筋層まで掘り進められた状態です。
胃や十二指腸に大きな口内炎ができたようなもので、強い痛みが生じます。
しかし、内臓痛は個人差があり、小さな潰瘍でも耐えがたい痛みに襲われる人もいれば、出血や穿孔といった合併症を起こすまで痛みを感じない人もいます。
胃潰瘍の痛みはおなかの上の方、上腹部にみられるのが典型的ですが、胃はおなかの中でも大きな臓器のため、右上や左上の方、みぞおちの痛み、おへその周囲の痛みなど、さまざまな部位に痛みが出ることがあります。背中や肩に痛みが放散することもあります。
十二指腸潰瘍は右のやや後方にあるため、おなかの右上や背中に痛みが出ることが多いです。
潰瘍ができれば胃の機能は落ちて食欲がなくなり、おなかの中で強い痛みがあれば胃腸全体の機能も悪くなり、吐き気や嘔吐もみられます。
潰瘍が深くなり筋層にまで及ぶと血管が露出してしまいます。
むき出しの血管は容易に傷つき、そこから出血します。
仮に太い血管、例えば動脈が傷つけば心臓の拍動に合わせて大量出血が起きることもあります。
一度にたくさんの出血が起これば、多量の血液を嘔吐(吐血)、または下血します。
吐血前に小腸にじわじわと出血が流れれば、食物や腸液と混じって黒い墨のようなベタベタした便(黒色便・タール便)を作ります。
出血の量が多ければ貧血になります。
徐々に出血し、黒い便に気が付かなければ貧血の症状が初発症状になることもあります。
貧血によって息切れやふらつきなども起こります。
大量出血によるショック症状で、血圧が下がって倒れることもあります。
ちなみに明治の文豪・夏目漱石は49歳で胃潰瘍出血のために亡くなっています。
潰瘍が進行し、胃や十二指腸の壁を貫いて穴が開いてしまうことを「穿孔(せんこう)」といいます。
穴が開くと胃や十二指腸の内容がおなかの中(腹腔内)に漏れ出します。
おなかの中は全くの無菌状態なので、わずかな菌の侵入でも腹膜炎を起こします。
立てないほどの急激な腹痛とともにおなかが硬くなり(筋性防御)、高熱もみられ、増殖した細菌が血流に乗って毒素が全身に回り敗血症を起こすこともあります。
敗血症のショック症状で血圧が下がり、意識障害を起こすこともあります。
しかし、胃には強力な胃酸がありもともと細菌が少ないため、大腸の穿孔ほど重症化することは多くありません。
緊急手術を要することもありますが、手術せずに内科的な治療で間に合う場合も少なくありません。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍の検査・診断

胃、十二指腸の検査には内視鏡検査(胃カメラ)と胃透視検査(バリウム検査)があります。
潰瘍が大きければ超音波検査やCT検査でも見つけることはできますが、診断を確定するためには胃や十二指腸の中を直接確認する必要があります。
しかし、バリウムの検査時に穿孔を起こした場合は非常に危険です。
バリウムによる腹膜炎は重症化することが多いからです。
そのため、症状から潰瘍が疑われた場合は、通常内視鏡検査(胃カメラ)が行われます。
「胃カメラ」というと辛いというイメージがあるかもしれませんが、当クリニックでは苦痛を感じさせない検査を行うことに最も力を入れています。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍はしっかりと診断して早期に治療を始める必要があります。

①内視鏡検査(胃カメラ)
内視鏡検査を行って潰瘍があればそのステージを診断します。
活動性のあるA(active)ステージ、治癒過程にあるH(healing)ステージ、治癒して瘢痕(はんこん:傷跡)期にあるS(scaring)ステージの3つに分けられます。
それぞれさらに2段階に分けられ、最終的にA1、A2、H1、H2、S1、S2の6段階のステージに分けられます。
潰瘍ができてから改善していく時期を表したもので、出血や穿孔の危険が高いのは急性期のAステージのとき、ということになります。

②組織検査(生検)
潰瘍を形成するがんも多いので、潰瘍とがんの鑑別が大事です。
肉眼的にほぼ鑑別可能なものの、診断を確定するためには組織検査を行います。
内視鏡検査時に潰瘍の周辺組織を一部採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を確認します。
組織的にがんが否定された場合でも3~6カ月後にもう一度内視鏡検査を行い、完治したかを確かめましょう。
まだ完治していない場合はがんも否定できないので、再度組織検査をする必要があります。
③ピロリ菌検査
潰瘍の原因として最も多いのはピロリ菌への感染です。
ピロリ菌に感染したまま潰瘍の治療を行っても再発する可能性が非常に高くなります。
したがって、内視鏡検査で潰瘍を確認したら必ずピロリ菌の検査も行います。
内視鏡検査時に組織を一部採取して迅速ウレアーゼ検査を行うか、もしくは空腹時に試薬を内服して呼気を確認する「尿素呼気試験」にてピロリ菌感染の有無を確認します。
感染していることが分かれば、すぐにピロリ菌の除菌治療に入ります。
感染していない場合はほかの原因による潰瘍形成ということになるので、その原因を排除するか、長期の薬物療法が必要になります。
治療方針が大きく変わるため、事前のピロリ菌検査は大切です。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療

①薬物療法
夏目漱石の時代には胃潰瘍に有効な薬はありませんでした。
その後、ファモチジンをはじめとするH2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)と呼ばれる潰瘍に有効な薬が開発され、現在の潰瘍の内服治療の主流となっているPPI(プロトンポンプ阻害薬)が使用できるようになったのはそれほど昔のことではありません。
PPIは胃酸の分泌を抑える薬で、胃潰瘍も十二指腸潰瘍も98%程度が治癒します。
潰瘍が活動期にあれば胃潰瘍の場合8週間、十二指腸潰瘍の場合6週間内服を続けます。
しかし、一度よくなった潰瘍も、原因が取り除かれることなく内服を中断すれば再発します。
②ピロリ菌除菌
ピロリ菌の感染が分かった場合、まずはその除菌治療を行います。
ピロリ菌は抗菌薬により駆除できます。
除菌をしっかり行うことにより、再発率は極端に低下します。
ピロリ菌の除菌には、潰瘍の治療薬と抗菌薬を2種類組み合わせたものを7日間内服します。
この7日間は飲み忘れがないようにきちんと内服する必要があります。
1度の除菌療法で除菌が成功してピロリ菌が完全に退治できるのは80~90%ほどです。
ピロリ菌がその抗菌薬に対して耐性を持っている場合など、除菌に失敗する可能性もあります。
そのほか、除菌中の喫煙や飲酒も除菌率を下げる原因となるため、除菌中は禁煙・禁酒する必要があります。
除菌後は、除菌に成功したかどうかを確認するために、呼気テスト(尿素呼気試験)を行います。
これは、試薬を飲んで吐く息に含まれる尿素を利用して行う検査です。
この検査は除菌終了から1カ月以上間隔を開けて行う必要があります。
早すぎると偽陰性(ピロリ菌が残っているのに陰性の結果が出てしまうこと)になることがあるからです。
また、ピロリ菌の検査は潰瘍の治療薬であるPPIを内服していても偽陰性がみられることがあるため、判定するときには2週間以上はPPIを中止している必要があります。
この一度目の除菌を一次除菌といいます。
一次除菌で失敗した場合は二次除菌を行います。
抗菌薬の種類を変更して、同様に1週間内服します。
そして同様に1カ月以上経ってから、吐く息の検査を行い除菌に成功しているかどうかを調べます。
二次除菌の成功率は90%程です。
除菌療法での副作用として、下痢が20%ほどにみられます。
普段から下痢をしやすい人は、除菌の際に整腸薬も同時に内服するようにします。
そのほかの副作用として、味覚障害や肝機能障害などがあります。
また、抗菌薬に対するアレルギーとして湿疹が出たり、高熱が出たりすることもあります。
副作用の程度によっては除菌療法を中断します。
③ピロリ菌感染のない場合の治療
ピロリ菌以外の原因で潰瘍ができたのであれば、その原因を除去することが重要です。
消炎鎮痛薬やステロイド薬などの薬剤が原因の場合は、可能であれば薬剤を中止や変更を行います。
原因を除去しつつPPIの内服を行います。
喫煙、飲酒は潰瘍が見つかった時点でやめることが大事です。
治療後もできれば禁煙した方がよく、アルコールも極力控えるようにしないと、潰瘍が再発してしまいます。
ストレスも潰瘍の原因です。
仕事が潰瘍を作るほどのストレスとなっているようであれば、少し仕事を休む方がよいでしょう。
潰瘍を作ってまで仕事をしていても効率は上がりません。
心も身体も休息を必要としていると思って治療に専念しましょう。

潰瘍が治っても同じストレスの場に戻れば再発する可能性もあります。
そんなときこそ心と身体の両方のケアが必要です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍でお悩みの人は、ぜひ当クリニックにご相談ください。
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