横浜つづきクリニック

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クリニックブログ

セルフコンパッション

2021年04月07日

クリニック

今日は以前ブログでも簡単に紹介した、セルフコンパッションについて話したいと思います。

コンパッション(compassion)とは「思いやり」「やさしさ」「慈悲」などと訳されます。

「コンパッション」の著者、ジョアン・ハリファックスは、「コンパッションとは人が生まれながらに持つ資質で、自分であろうと他者であろうと、その悩みや苦しみを深く理解し、そこから解放されるよう役に立とうとする純粋な思いである」と述べ、自分自身や相手と「共にいる力」であり、自分を犠牲にせずに、人の役に立つために「コンパッション」を育めば良いと言っています。

ちょっと難しいですね。

今回はクリスティン・ネフの「セルフコンパッション」、「マインドフル・セルフ・コンパッションワークブック」を参考に簡単に説明していきます。

クリスティン・ネフ博士はテキサス州オースティン校に勤める発達心理学者で、セルフコンパッション研究の先駆者です。

私も本を読み、このマインドフル・セルフコンパッションワークを実践しています。心療内科の医師も人間であり、不完全です。生活をしていれば受け入れがたい事も多々起こりますし、受け入れ難い過去もたくさん持っていますし、恥という強い感情に飲み込まれそうになることだってあります。セルフコンパッションのワークを実践することによって、私も少しずつですが、いろいろなことを受け入れることができるようになってきています。これは診療にも取り入れるべきだろうと思いました。

そしてもう一つ気が付いたことがあります。HSPの特性にこのセルフコンパッションの概念は非常に相性がいいということです。

私は残念ながらHSPといえるほどの能力は持ち合わせていませんが、HSPのことを深く理解しようと努めている一人です。HSPの皆さんは、共感能力が高く、感受性が高く、そして思いやりのある人が多いと思います。これらは、セルフコンパッションワークを実践するために必要な資質です。また、HSPの皆さんは自分の特性を知らないために自己批判、自責を強く持っている方も少なくありません。つまりセルフコンパッションを必要としていると思うのです。ぜひ積極的に取り組んでもらいたいものです。

もちろん、non HSPの皆さんに対しても、日々の生活を効率よく、心も穏やかに活動するためにセルフコンパッションは非常に有用であると思います。

それではセルフコンパッションとはどのようなものでしょうか。

例えば、大変な状況にあり苦しんでいる友達が、その状況を振り払ったり、うまくいかないと感じたり、辛い人生の課題に直面しているさなかにあるとします。その大切な友達に接するように自分に接することがセルフコンパッションです。一般的に人は、苦しんでいる友達や家族、隣人に親切にするように教育を受けます。ですから、人に親切でありたいと思っている人は多いはずです。ところが自分のこととなるとそうではありません。苦しい時ほど自分に優しく接していないものです。例えば、好きな異性に振られたときに、自分に掛ける言葉と、親友が誰かに振られたときに掛ける言葉を比べてみてください。結構自分にはひどい言葉を掛けていませんか?

セルフコンパッションとは自分が最も必要な時に自分のよき友になること、つまり自分の敵ではなく味方になることを身に着ける実践であるとクリスティン・ネフは言います。

また、彼女の本によれば、セルフコンパッションが心身の健康にいかに有効であるかの1,000を超える研究によって証明されており、コンパッションが多い人ほど抑うつ気分、不安感、ストレス、恥が少なく、幸福感、人生への満足感、楽観的気分、身体の健康が多いといいます。そしてマインドフルネス・セルフコンパッションワークをすることにより、平均でコンパッションの度合いが43%上がったとのことです。

セルフコンパッションには「マインドフルネス」「共通の人間性」「自分へのやさしさ」という、3つの中核要素があります。これらが、苦痛を感じるときに自分たちを支えていくものになります。それぞれ簡単に解説します。

「マインドフルネス」

マインドフルネスは、今その時、その瞬間の経験や感情に気づくことです。自分を責めてしまっている時、キツイことがあって気持ちが落ち込んでいる時に浮かんでくる感情に対して意識を向けます。その感情を軽視したり、過剰に評価することなく、その感情そのものに気づいてあげるのです。例えば落ち込んだ時、自分を落ち込ませている感情は何かに気づいてあげます。できるだけその感情の根本のところまで気付けると効果的です。怒りや悲しみ、恥などの感情は二次的なものであることが多く、なぜ怒りを感じているのか、なぜ悲しいのか、なぜ恥に思うのかまで考えて、気づいてあげます。

「共通の人間性」

人は誰しも、欠点がありながらも成長を続けます。人生の中で誰でも失敗するし、間違えますし、困難なことに直面することもあります。そうです、人間なんだから当然です。しかしこのようなミスや困難に冷静に向き合うことは簡単ではありませんし、その苦しみの中で孤立しているように感じてしまうものです。その苦しみが、人間が誰しも遭遇する経験の一部であることを思い出し、他者とのつながりを感じることが大切です。誰もが人生という冒険の中を生きているのだから、きっとこの広い世界、あるいは長い歴史の中で、誰かが同じような困難を体験しているのかもしれないと、そっと考えてみるのです。

「自分へのやさしさ」

他人に優しくするのと同じように自分にも優しくするということです。自分の欠点に気づいた時や、失敗した時に厳しく批判するのではなく、サポーティブに自分を励まし、温かく無条件に自分を受け入れるようにします。あたかも親友に接するように、自分自身を積極的になだめて、優しく思いやりのある声を掛けてあげるのです。例えば、親友が落ち込んでいる自分と同じような立場にあるとしたら、何と声を掛けてあげるでしょうか。その優しく思いやりのある声を自分に掛けてあげるのです。

この3つの中核要素を使って、セルフコンパッションを実践していきます。例えば人間関係や仕事や学校で嫌なことがあって、辛いな、キツイなと感じたときに実践してみます。

まず自分を落ち込ませている感情に気づいてあげます。その感情を過少にも過大にも評価せず、なるべく根本のやわらかいところまで気付いてあげます。これを感情のラベリングといいます。気づいた感情に対して、声を掛けてあげます。「これはキツイね。」「それはストレスだね」「痛いね」など。次に共通の人間性を考えます。人は人生という冒険を生きているのだから、悩むこともあるよね。だって人間なんだから、というように。きっとこの広い世界、同じような感情を持って苦しんでいるのは自分だけではないよね、というように。そして同じような感情をもって苦しんでいる親友を心の中に作り、その親友に掛けてあげる言葉を自分に向かって掛けてあげるのです。「分かるよ、辛かったよね、でも私はあなたのことを見ているし、理解しているよ」というように。励ます言葉が思い浮かばなければ、サポーティブな言葉を掛けていきます。「この苦しみが癒えますように」「ありのままの自分を受け入れられますように」「自分を許せますように」「忍耐強くいられますように」というように。コンパッションが高まって、うまくできるようになれば、辛い、受け入れ難かった物事を心の片隅にそっと置いておくことができるようになるかもしれません。

今日はごく簡単にセルフコンパッションワークについてお話をしてきました。これらがセルフコンパッションのやり方の基本になります。しかし、日常生活に辛さや抵抗を感じている方ほど、セルフコンパッションを取り入れていくことに難しさを感じるかもしれません。セルフコンパッションには練習が必要なのです。私自身も日常生活にセルフコンパッションを取り入れていますが、数か月かけていくらか受け入れられることが増えてきたかなというところです。

セルフコンパッションには複数のワークがあります。最終的には自分のニーズとなる核心信念に気づき、多くのことを受け入れることができるようになるのが目的です。人は受け入れがたい物事に対して抵抗をします。この抵抗が苦しみを生むのです。抵抗をしないで受け入れられる事ができるようになると、心に余裕が持てるようになります。受け入れ難い物事を受け入れやすい形に和らげて、なだめていくのがセルフコンパッションです。

ちょっと長くなってしまいました。セルフコンパッションはちょっとばかり深い概念ですので、何度かに分けて解説していきたいと思います。

それでは。あなたの悩みが癒えますように。

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