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横浜つづきクリニック
-内視鏡内科 心療内科 内科-
2020年05月24日
大腸カメラ
大腸にできるがんを大腸がんといい、大腸は、盲腸―上行結腸―横行結腸―下行結腸―S状結腸―直腸 に分類されます。
盲腸はお腹の右の下の方にあり、そこから時計回りに進んでいって肛門へとつながります。
大腸の主な役割は便を作ることで、胃や小腸で消化吸収された食べ物の残りが大腸に進み、大腸で水分を吸収して固形の便にしていきます。
この大腸にできるがんが大腸がんです。
大腸がんはがんの中でも多いがんで、2019年の日本のがんの統計では、男女計の罹患率で大腸がんが第1位です。
男女別の罹患率では男性の1位が大腸がんで女性の1位が乳房がん、2位が大腸がんになります。
死亡率では男女計では肺がんについて第2位。
男性で肺がん、胃がんについて第3位、女性では大腸がんが第1位になり、男女差は1.4倍男性の方が多いです。
大腸の部位別では日本人にはS状結腸と直腸のがんが多く、全体の約70%を占めます。
このように頻度の高いがんになりますが、大腸がんはその他の部位のがんに比べても、治療のしやすいがんと言えます。
早期なら90%以上、リンパ節転移があっても70%以上が根治します。
腺腫という大腸ポリープから癌になるものが圧倒的に多いため、ポリープのうちに見つけて切除してしまえば大腸がんは予防できます。
定期的に大腸内視鏡を受けている方は、ほとんど大腸がんになりません。
大腸がんは早期がんと進行がんに分かれ、分類はその深達度といって、がん細胞の深さによって分類されます。
一番浅い粘膜までのがんであれば内視鏡で切除して根治できることがほとんどで、その下の粘膜下層より深く入っているがんはリンパ節に転移する可能性があり、手術をして大腸ごと切除することになります。
大腸ポリープは症状が出ず、大腸がんになっても、よほど大きくならない限りは症状が出ません。
定期的な大腸内視鏡が大事になります。
大腸がんは、はじめからがんの形で発生するものは少なく、90%が腺腫というポリープからがんになっていきます。
初めからがんとして大腸粘膜に発生するものをデノボーと言い、そして腺腫性のポリープからがんになっていく過程を腺腫がん連関と言います。
腺腫がん連関を簡単に説明します。
もともとは正常な細胞を作るように設計されているところに遺伝子の設計ミスがあり、正常ではない細胞のポリープを作ろうとしてしまうことは多々あります。
しかし、抑制遺伝子の働きでそれを阻止しているのです。その抑制遺伝子の変異により腺腫が発生し、徐々に大きくなって少しずつがんに変化していきます。
小さなポリープが、内視鏡で取れなくなるがんに育つまでには10年前後はかかると言われています。
この過程を腺腫がん連関と言います。
大腸がんのリスクファクターとしては
① アルコール (ある一定の量を超えるとリスクが3倍ほど高まります)
② 喫煙 (直腸がん、特に男性でリスクが上昇します)
③ 肥満
④ 運動不足
⑤ 遺伝 (家族性)
⑥ 糖尿病
があげられます。
これらのリスクファクターを避けることが大腸がんの予防につながるわけですが、それよりも定期的に大腸内視鏡を受けることが大事です。
便潜血検査も大事ですが、便潜血で陽性になるのは大腸ポリープの30%に過ぎません。
70%の大腸ポリープは便潜血で陽性にならないのです。
また大腸ポリープの70%はがんになります。
しかし、がんになるまでには10年前後かかるわけですから、定期的に大腸内視鏡を受けている限り大腸がんになる可能性は非常にひくくなります。
大腸がんになるとどのような症状が出るのでしょうか。
大腸ポリープは、よほど大きくなって出血しない限り症状はありません。大腸がんも早期のうちは症状が出ません。
進行すると、出血して血便(便に血液が混じります)になったり、便の通り道をふさいで、便秘になったり、硬い便ががんで狭くなっているところを通れずに下痢だけ出てきたり、あるいは狭いところを柔らかめの便が通れば、便は細くなります。
便がほとんど通れなくなるとお腹が張ったり、お腹が痛くなったりします。残便感も強くなります。
出血が進めば貧血になり、肛門から遠い、上行結腸や横行結腸のがんの場合出血していても気が付かないことが多く、すると症状がないのに貧血のみ進んでいきます。
検診で貧血を指摘されたら、胃カメラと大腸カメラを行う必要があります。
腫瘍が大きくなるとしこりとしてお腹から触ることができ、何か心配な症状がある場合は早めにご来院ください。
症状が軽いうちに検査することをお勧めいたします。
大腸がんにはステージ分類があります。
大腸のがんはほとんどが腺がんで、腺がんはリンパの流れに乗ってリンパ節に転移(ほかの場所に癌が飛んでしまう事です)したり、血管の流れにのって他の臓器(肝臓や肺等が多い)に転移したりします。
腫瘍の進展の深さや転移の有無によってステージ分類されています。
日本ではステージによって手術規模の大きさや、手術後の補助療法(抗がん剤治療など)を行うかどうかを「大腸がん取り扱い規約」に沿って決定していきます。
大腸の壁はいくつかの層に分かれていて、簡単に言うと、内側から粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜の4つの層です。
この層のどこまで進展しているかで早期がんか、進行がんかが決まります。
ステージ分類は少し複雑ですが、こんな感じです。
ステージ0 粘膜にとどまるがん
ステージ1 がんが筋層までにとどまっているがん
ステージ2 がんが筋層を超えて進展している
ステージ3 リンパ節に転移している
ステージ4 遠隔転移している
大腸がんの治療はどのように決めるのでしょうか。
大腸がんの治療法はステージのよって決定され、基本的にはリンパ節転移の可能性がなく、切除が物理的に可能なものは内視鏡切除の適応になります。
内視鏡で切除できないものやリンパ節転移の可能性が否定できないものは手術適応になります。
腫瘍が大きく周囲の臓器などに食いつくように進展していた場合など(浸潤といいます)は手術の前に抗がん剤の治療や放射線治療などが先に行われることもあります。
手術をして切除したがんと臓器をよく調べて最終的なステージ分類を行い、手術後の補助療法(抗がん剤治療や放射線療法など)を決定します。
これまで大腸がんについて説明してまいりましたが、私たちのようなクリニックで務める内視鏡医の使命は、大腸がんを減らすことで、出会った人すべてが大腸がんにならないようにすることです。
大腸がんの9割は大腸ポリープががんになったもので、つまり大腸がんで手術をする人のほとんどが大腸ポリープのうちに見つけられなかった人ということになります。
大腸ポリープががんに成長するまでには何年もかかり、その間に大腸内視鏡さえ行っていれば大腸がんの大腸切除手術が必要になることはほとんどないのです。
一人でも多くの人に大腸内視鏡検査を受けてもらいたい。
定期的に行えるように苦痛が極力でないように検査をしたい。
その一心で内視鏡のトレーニングを積んできました。
もっとたくさんの人が大腸内視鏡を受けてくだされば、大腸がんの発症率はもっともっと下がるはずです。
日本の大腸内視鏡医には匠の技があり、一度受けてみればわかります。
何度でも言います。
定期的に大腸内視鏡を受けて大腸がんを予防しましょう。
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