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横浜つづきクリニック
-内視鏡内科 心療内科 内科-
2020年07月09日
大腸カメラ
まだクリニックも完成していませんし、機材も入れていないので、当然のことながら7月になってから内視鏡を行っていません。
いつもいつも内視鏡を行っていたので、内視鏡を行わないでいると、何となくさみしくなります。
思い返せば内視鏡を始めてもう25年以上になります。
操作法は体で覚えている感じですが、始めたころは操作が難しく、胃の中で行きたいところに行けず、見たいものが見られませんでした。
内視鏡には興味があったので、研修医の時に内視鏡室での研修は通常3か月なのですが、無理を言って伸ばしてもらい、6か月行いました。
当時は研修内容が厳しく、初めの1か月は内視鏡の洗浄のみです。
1日中洗浄を行って、手の空いた時に先輩の医師が行う内視鏡を見学します。
優しい医師であれば解説しながら内視鏡を行ってくれました。
2か月目くらいから少しずつ内視鏡を使わせてもらえるようになります。喉元をスコープが通るところは、へたくそがやると苦しくなってしまいますから、まずは先輩がスコープを胃に入れて観察をざっとしてから研修医にスコープを渡します研修医は胃の中を教科書的に順番に観察していきます。全然できなければスコープを取り上げられるわけです。
練習用の模型も使用して操作を少しずつ体に覚えさせていきます。
スムーズに胃から十二指腸に移動して、観察したいところを観察できるようになって初めて、胃カメラ検査の全部を通してやらせてもらえるようになります。
3か月だと、そこまで行ける研修医と途中で期間が終わってしまう研修医が出てきます。
この3か月で触らせてもらえるのは胃カメラだけで、大腸のほうは見ているだけです。
胃カメラより大腸カメラの方がはるかに難しく私が研修を受けた大学病院では大腸カメラを覚えるほうに進むのは医局員の半分ほどです。
医者2年目から大腸の検査を習い始めます。
大腸の検査は、まずは練習用の大腸の模型を使って繰り返し練習します。
日中は練習する時間がありませんので、仕事が終わって、夜の20時ころから始めます。
始めるとみんな夢中になってしまうので、夜遅くまで内視鏡室にこもっていました。
よくできた練習用のキットで、これを使って練習したほうが上達が早くなることが統計学的にわかっていたので、私は他の研修医より熱心に練習用のキットを使いました。
このキットは非常に難しく、肛門から挿入して盲腸までスコープを進めるわけですが、盲腸までスムーズに入るようになるまでに何日もかかります。
大腸の内視鏡は非常に高度なテクニックを要し、覚えようと思って習い始める医師は結構いますが、途中であきらめてしまう医師も多いです。
特に日本では安全に行うことが前提ですし、全身麻酔をかけることもありませんから、丁寧に行う必要があります。
この丁寧にというところで適性が問われ、挿入が難しい大腸の人もいますので、その時は焦燥感が募ります。
そこで慌てて押してしまうと事故につながってしまいますので辛抱強く、丁寧に最後まで行える医師に適性があると言えます。
内視鏡を始めて15年くらいは、挿入する時間にこだわっていました。
早くできることがうまさのバロメーターだと思っていたわけです。
手術時間と一緒ですね、胃がんの手術を1時間半で終わる医師と、5時間かかる医師では1時間半でできる医師の方がうまいと思いますよね。
それと同じように、「俺はトータル(直腸から盲腸まで挿入することです)を2分以内にできるぜ」などど自慢していたわけです。
今行っている方法は、無送気挿入法で、これは従来の挿入法とは全く異なります。
やや専門的になりますが、通常の挿入法は直腸から入って、S上結腸の一番頭測のところまでスコープを押して入ります。
これ以上頭の方には伸びないというところまでスコープを進めると、その先にスコープの頭が入ります。
そこでスコープを引きながら右に回転させてS上結腸をたたむのです。
どうしても押すときに痛みが出てしまいます。
それに対して無送気(軸保持)挿入法とは、腸を伸ばさないように丁寧に引き寄せてたたんでいきます。
大腸はS上結腸と横行結腸が固定されておらず伸びますので、ここを伸ばさずに挿入していくのです。
空気を入れないので視野が悪いですし、繊細に行わなければ腸が伸びてしまいますので、多少時間が余計にかかります。
確かに時間はかかりますが、従来法の検査中の痛みを5とすると、無送気挿入法の痛みは1くらいです。
ですから軽い鎮痛剤を用いれば痛みはほとんどなくなってしまいますし、強い鎮静剤も必要ないのです。
時間がかかっても痛くない方が喜ばれますし、鎮静剤を使用していないので、一緒にポリープを切除するところを見ていることもできます。
スピードより快適さが大事だと思います。
内視鏡の搬入は7月16日から開始していきます。検査が再開できるまでもう少しです。
内視鏡を用いて、この街から胃がん、大腸がんを少しでも減らしていきたいと願っています。
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