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横浜つづきクリニック
-内視鏡内科 心療内科 内科-
2020年04月24日
心療内科
パニック障害という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
だいたい人口の1~3%、つまり100人中1~3人くらいが生涯のうちにパニック障害を発症すると言われています。
心療内科の外来では、うつや適応障害に次いで多くみられる疾患のうちの一つです。
初回は急に症状が襲ってきます。
不安なことがあったり、誰かと喧嘩した後などが多いです。
そして症状として多く見られるのが、動悸や息苦しさ、めまいなどです。
そしてその症状が短時間のうちに最高度に達するため、死の恐怖や発狂恐怖を伴います。
死の恐怖や発狂恐怖ですから、その苦しさは相当なものです。
その苦しさは心に深く刻まれてしまいます。
すると、あの苦しさにまた襲われるかもしれないという恐怖感が生まれます。これが「予期不安」となります。
2回目以降は逃げられない場所に特に恐怖を感じるようになります。
逃げ場のない場所、つまり電車や車などの乗り物、人混みやエレベーター、美容院や歯医者さん等の「ここでまた同じような発作が起こったら大変だ」という場所で予期不安が起きることが多くなります。
すると、予期不安の起こる場所を避けるようになっていきます。
電車などの乗り物に乗れなくなることも多いので、生活に支障が出てきてしまうわけです。
どうしてこんなことが起るのでしょうか。
元来動物には身の危険を感じたり、戦う必要があったり、不安を感じたりするときに防御として神経伝達物質やホルモンを分泌し、心拍を上げたり発汗を施したり神経が過敏になったりする性質があります。
そして過剰に分泌された攻撃系の物質を和らげるためにセロトニンなどの神経伝達物質が分泌され、均等を取っています。
セロトニンが何らかの原因で不足している状態(原料不足や消費など)で、強い不安に襲われると、攻撃系の物質がより過剰に分泌されてしまうので、実際に動悸を感じたり、呼吸が速くなったり、手に汗を握ったり、ふわふわした感じになったりしてしまうわけです。
人は急にそのような状態に追い込まれると、より不安を感じてしまい、更に攻撃系の物質が分泌されます。
そうやって暴走してしまいコントロールができなくなった状態がパニック発作を引き起こします。
一度パニック発作を起こせば、恐怖心から予期不安を感じやすくなります。
パニック発作までいかないとしても、この予期不安は非常に苦しい感情なので、身体も心も逃避を求めます。
そうして予期不安の出る場所を避けているうちに心はその場所をパニックの起こる場所と認識してしまい、できなくなることがどんどん多くなっていってしまうわけです。
どうしたらよいのでしょうか。
パニック障害は改善することのできる疾患です。
お薬の治療にも反応しやすい病気です。
症状が強く長い期間予期不安に悩まされている方は、最初は薬物療法も取り入れた方が楽かもしれません。
良くなってきたら内服薬を徐々に減量していけばよいのです。
大事なのは、そこに行っても、それを行ってもパニックは起こらないという安心感を得ることなのです。
内服を使用して症状が安定して安心できるようになれば、予期不安もパニック発作も起こらなくなっていくわけです。
パニックを誘発しないように生活に注意することも必要です。
人が多く二酸化炭素が充満している場所がパニックを誘発することが知られています。
食生活でいえば、甘いものを取るのもよくありません。
甘いものを取ると血糖値が上がりすぎ、下げるためのホルモンが分泌されます。
原料として安心感をもたらすセロトニンを作るための補因子が使用されてしまい、不安感をもたらしやすくなり、パニックを誘発します。
カフェインもパニックを誘発する物質として知られています。鉄不足、ビタミン不足、タンパク質不足も不安感をもたらします。
セロトニンなどの安心感をもたらし、ノルアドレナリンの作用を抑える物質が作れなくなってしまうからです。
これもパニックを誘発します。つまり甘いものとカフェインを避け、鉄やタンパク質やビタミンをしっかり取りましょう。
予期不安が来た時、もしくは予期不安が来そうな時に落ち着けるように、普段からトレーニングしておくことも大切です。
ゆっくりと呼吸ができるように普段からマインドフルネスの練習をしておくと心構えができるようになっていきます。
(練習するアプリなどもあります)そして深呼吸をするときにはイメージが大切です。
自分は大丈夫だというイメージと、きれいな呼吸を吸って不安感を吐き出すというようなイメージをもって深呼吸するとより効果があがります。
症状が徐々に落ち着いて予期不安が出ないようになってきたら、少しずつできなかったことにチャレンジしていく段階に入ります。
絶対に安心だという状況を作りながらチャレンジしていきます。
例えば電車が駄目なら、まずは信頼できる人と一緒に空いている日曜日の各駅電車のドアのそばに立って乗ってみたり、車が駄目なら信頼できる人の運転で、まずは乗るだけ、次にドアを閉めるところまで、そして数メートルずつ走ってみるところまで、といったようにハードルの低いものから順番にチャレンジしていきましょう。
出来たら思いっきり喜びましょう。
心がこれはできる、大丈夫と判断していけば、次々とできることが増えていくはずです。
薬を使用していた人も、できることが増えていって安心感が増していけば、徐々に内服を減量してやめていくことができるはずです。
パニックは本当にきつい症状です。
でもパニックでは絶対に命を落とすことはありません。
そして治療をすれば克服できます。
パニック障害を疑ったら早めに心療内科に受診しましょう。そして安心感を勝ち取りましょう。
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