横浜つづきクリニック

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クリニックブログ

HSCのご両親へ

2020年07月02日

心療内科

HSCという言葉をご存じでしょうか。
以前ブログでHSP(highly sensitive person)について書きましたが、HSCとはhighly sensitive childの略です。
つまり刺激に敏感な子のことを指します。

HSPは生まれ持っての気質ですから、HSPもかつてはHSCだったわけです。

心療内科に受診する人にHSPが多いことは以前も述べました。
HSPは生きづらさを感じている人が多く、うつや適応障害を患いやすいのです。
しかし前にも述べた通り、HSPは気質であり、素晴らしい自分らしさでもあります。
HSCのうちに自己肯定感がしっかりと育まれていれば、生きづらさを感じることもないのです。

HSPはインナーチャイルドを抱えている事がどうしても多くなってしまいます。
そうならないためにはHSCのご両親が、HSCの特性を知って、その特性をイキイキと伸ばしていくことが大切です。
そうすれば、HSCが大人になってHSPになるときにその特性を十分に生かした環境でのびのびと仕事や生活を送ることができるはずです。

HSCはどのようなお子さんの事を言うのでしょうか。
その特性は以下のようなものです。

身体が刺激に敏感です。
肌触りの悪い服は着るのを嫌がります。
服のタグも駄目です。
小さな怪我でも大げさに痛がります。
筋肉痛で歩けなくなったりもします。

まぶしい光や大きな音が苦手で過敏に驚いたりします。
嫌いなにおいも多く、嫌な臭いで具合が悪くなってしまいます。
人込みでも具合が悪くなります。
ですから学校からも疲れて帰ってきます。
一人になることを好む傾向も出てきます。

物事を行うのによく考えてから始めるのでマイペースで時間がかかります。
複数のことを同時に頼まれたりするとパニックを起こします。

周囲の人の気分に大きく影響されます。
泣いている人を見ると泣きたくなり、怒られている人がいると気分が落ち込みます。
ピリピリした空気が苦手です。

ものすごく人に気を遣い、よく気が付きます。
人の言葉に傷つきやすく、いつも誰かを傷つけないように心がけています。
感動的な場面に涙します。
悲しいニュースを聞くと悲しくなってしまいます。
きれいなものが好きです。
音楽も好きです。
自然の中にもきれいなものを良く見つけ感動します。

正義感が強く、悪いことはできません。
ずるい人を許すこともできません。
元気のない人や落ち込んでいる人がいると放っておくことができません。

人に見られていると緊張していつも通りできません。
人前で話すのも苦手です。
積極的に前に出ていくことが苦手です。

眠気や空腹で機嫌が悪くなります。
環境に慣れるのも時間がかかるので、変化を好みません。

また赤ちゃんの場合は、他の子よりよく泣いたり、寝つきが悪かったり、寝てもちょっとした気配や物音で起きてしまったりします。
ものをじっと観察していることが多く、大人の機嫌に敏感だったりもします。

ざっと以上のような特性ですが、HSCにもいろいろなタイプの子がいますので、全部に当てはまるわけではありません。
ある項目は非常にその傾向が強く、他の項目はそうでもないということも、もちろんあります。

アーロン博士の提唱するHSCの4つの特徴はHSPと同じです。

①深く考えて処理をする
②刺激に対する反応が過敏
③共感性が高い。感情に反応を受けやすい
④小さな刺激をも察知する

この4つが根底にあり、上記のような特性を作り出していくのです。

HSPのブログでも書きましたが、HSCは特性、生まれ持っての気質です。
(5人に1人がHSCと言われています。)ですから治療をするものではありません。
そのいいところ、自分らしさを伸ばしていくことが大事なのです。
自分らしさを伸ばすということで自己肯定感を育んでいくのです。

しかし、HSCは自己肯定感を持ちにくいと言われています。
HSCはしつけの影響を受けやすく、ちょっとした言葉を強く受け取ってしまうので、自分を全否定してしまう傾向があり、自分を強く責めてしまいます。
また、親の気持ちを敏感に察知するので、怒られないように過剰に注意して自分を押し殺してしまう傾向もあります。
ですから周囲には手のかからないよいこにしか映らないのですが、本人は徐々に苦しさを溜め込んでいっている可能性があります。
5人に1人の特性ですので、周囲の子との違いを何となく感じ取ってしまい、集団に打ち解けるのに時間がかかります。
打ち解けられない自分を駄目だなあと感じてしまいます。

このように、ついつい自己肯定感を低くしてしまいがちなHSCの自己肯定感を育てていくための両親の役割は大きいのです。

そのために、まずはお子さんを信じてみましょう。
5人に1人の特性ですから、他の子と反応が異なります。
「何を大げさな」とか「そんな細かいことが気になるの?」ということが多くなります。
疑いの目で見ると、お子さんはそれを敏感に感じ取って、嫌なことを嫌と言えなくなってしまいます。
その子にとってそれは真実なのです。
そのことをきちんと理解して、共感してあげましょう。
他の子よりも強く痛みを感じているのだし、ごわごわな服を着るのは本当にストレスなのです。
うるさい音やまぶしい光は本当に苦手なのです。
それをわかってあげることが大切です。

物事を深く考えてから行動するので、マイペースです。
辛抱強く待ってあげましょう。
時間はかかっても丁寧にできます。

しつけの影響を受けやすく、少し怒っただけで、後々まで引きずって自己否定を始めてしまいます。
大きな声も苦手ですので、叱るときは強く言わずに優しく注意するだけで充分です。
そして全部を否定してしまうと良くありません。
できていることも伝えたうえで、直すところを注意するようにしましょう。
できればできたところは褒めてあげるようにすると、なお良いです。

しつけに対して更に言えば、HSCは叱られないように注意して生活するあまり、本当はやりたいことまで押し殺してしまう傾向があります。
手のかからないいい子だと思って、そのままにすると抑圧がたまって、思春期に暴走することがあります。
失敗したことまで褒めてあげるようにすると、安心して感情を吐き出せるようになります。

小さなときは特に、たくさん甘えさせてあげてください。
たくさん抱きしめて大好きだって伝えてあげてください。そしてやや大げさなお子さんの訴えを、決して馬鹿にしないで共感してあげてください。

大切にされているという実感、そして分かってもらえているという安心感が事項肯定感を育てます。

甘やかしすぎだと周囲の人は言うでしょう。
でもHSCは5人に1人です。
他の4人とは育て方も変える必要があるのです。
他人は他人、自分は自分ですから、他人との間にしっかりと境界線を引いて、自分の信じるお子さんの育て方をしていきましょう。

HSCの特性に両親も本人も気づくことで、その特性を生かして自分らしく生きていくことができます。HSCは素晴らしい特性を持っています。その特性を大事にしてあげることがとても大切です。

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