消化管は、口から肛門に至る1本の管です。
このうち胃は、食道の出口から十二指腸の入り口までの袋状の器官を指します。
胃の最も大きな機能は消化機能で、食べた物は食道を通って胃の中に入ります。
胃の出口は直径10mmほどしかないので、食べ物はしばらく胃袋にためられ十分に消化させた後に、十二指腸へと運ばれます。
胃の入り口付近を噴門(ふんもん)、出口を幽門(ゆうもん)、真ん中を胃体部と呼びます。
胃壁は、内側から粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜(しょうまく)の大きく分けて4層の構造をしています。
胃がんとは、胃の上皮(粘膜側)にできた悪性腫瘍です。
粘膜にできた悪性の腫瘍(がん細胞)は秩序なく増殖し、徐々に深い層(深層)に入り込んでいきます。
このがん細胞が粘膜や粘膜下層にとどまっているものを「早期がん」、筋層より深く入り込んだ状態を「進行がん」といいます
(ただしこれは、がん細胞が胃壁のどの深さまで到達しているかで判断した呼び方で、進行がん=末期がんではありません)。
がん細胞が4層目の漿膜、つまり胃壁の外側まで進み、周囲の臓器に食いついていくかのような状態を「浸潤(しんじゅん)」と呼びます。
また、がんはリンパ液の流れに乗ってリンパ節に転移(リンパ行性転移)し、さらには血流に乗って肝臓や肺など、ほかの臓器に転移(血行性転移)していきます。
長年、胃がんは発症率・死亡率ともに高く、日本では最も多くみられるがんでした。しかし近年、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)除菌療法の確立とともに、低下傾向にあります。