風邪(普通感冒)とはさまざまなウイルスによって起こる症状の症候群で、大半が自然によくなります。
しかし、いわゆる「風邪をひいた」人すべての症状がウイルス性ではなく、少数ながら細菌が原因のものがあり、中には重症化する「単純な風邪ではない」ウイルス性疾患もあります。
ウイルス性のものは症状緩和目的の対症療法が中心になりますが、その中で経過観察をしながら数少ない細菌性のものを見つけ出し、適切な治療を行っていくことが重要です。
鼻、喉、咳に症状がみられるのが普通感冒の特徴で、鼻症状がメインの鼻腔炎・副鼻腔炎、喉症状がメインの咽頭炎・扁桃炎、そして咳症状がメインの気管支炎・上気道炎に大きく分かれます。
そのほか高熱だけのもの、微熱や倦怠感が続くもの、下痢や嘔吐、腹痛を伴うもの、頭痛だけのものや発疹を伴うものなどがあり、これらを見極めて治療します。
なお、ウイルス性の風邪に抗菌薬の効果はなく、風邪の初期から使用する必要性はほとんどありません。
細菌性の疑いが強い、あるいは経過が思わしくない場合にのみ抗菌薬を使用します。例えば肺炎や副鼻腔炎、扁桃腺膿瘍の予防に使用しても効果がないどころか、不適切な使用は耐性菌を作る可能性があります。
抗菌薬は必要性を見極めた上で適切に使用することが何より大切です。