認知症とは、正常だった脳の機能(働き)が老化などの原因で低下していき、さまざまな症状が生じて日常生活に支障が出る状態のことをいいます。
脳は部位により機能が異なり、障害される部位が違えば症状も異なってきます。
そのため、認知症では頭部のMRI検査やCT検査が必須と思われがちですが、その部位に萎縮があるから認知症である、あるいは認知症だからその部位に画像変化があるとも限りません。
認知症は症状から診断が可能で、画像診断は必須ではありません。
脳の障害の部位や発症の仕方によって、「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症(ピック病)」の4つのタイプに大きく分類できます。
そのおおよその割合は、アルツハイマー型が30%、脳血管性が15%、レビー小体型が9%、前頭側頭型が8%、そして複数のタイプが併発した混合型が38%です。
「アルツハイマー型」の脳の障害部位は側頭葉と頭頂葉、「前頭側頭型」は前頭葉と側頭葉、「レビー小体型」は一定せずさまざま、「脳血管性」は一部分、または全体だったりします。
しかし、大事なのは障害の部位ではなく症状です。
それぞれのタイプにより特徴的な症状がみられ、治療法も異なるため、きちんと診断を受けることが重要です。
しかし、高齢になるほど「混合型」の占める割合が増えます。そこに気が付かないまま薬の量や種類をどんどん増やすと、より症状が強くなることもあります。
症状が強くなったからと飲む薬を増やされた結果、さらに悪化する人も少なくありません。
薬の治療は有効ですが、まずはしっかりと診断を受け、薬の使いすぎにも注意しつつ治療を進めていく必要があります。
認知症の治療は、萎縮した脳を再生させるものではありません。
たとえ物忘れが多くても、家族と快適に、何より本人が幸せに暮らしていけるようにすることが大切です。