アニサキスとは寄生虫(線虫)の一種で、食物を介して人の消化管に入り、症状を起こします。
幼虫は2~3cm程度と目で見える大きさで、白くて細長い形をしています。
サバやイカなどに寄生しているので、それらを特に生で食べることによって、人の体内に入ります(経口感染)。
アニサキスの幼虫の多くは胃の壁に食いつくように刺入し、激しい痛みを引き起こします。
また、胃を通過して小腸から先にも進み、小腸や大腸の腸管の壁に食いつくように刺入すると、そこがアレルギー反応によってむくみ、腸閉塞を起こすこともあります。
治療は、胃内視鏡による虫体の除去になります。
アニサキスの幼虫が寄生している魚介類を摂取することによって感染します
上記の魚介類を摂取して数時間後(多くは8時間以内)に上腹部の激痛が起こります。
10時間以上経ってから痛みが出ることもあります。
アレルギー反応を起こすので、蕁麻疹や発熱を伴うこともあります。
痛みに嘔気や嘔吐を伴うことがありますが、通常、下痢はみられません。
痛みは持続性の場合と間欠性(波がある)の場合があります。
胃を通過し、小腸や大腸に虫体が流れてから刺入した場合は、その部位にアレルギー反応を起こして腸の壁が肥厚(ひこう:むくんで厚くなること)します。
すると通過障害を起こして、腹痛や嘔吐が強く生じます。
腸閉塞を起こすことも多く、手術して小腸を切除し、そこで初めて胃アニサキス症と診断されることもあります。
上記の魚介類を摂取後に急激に腹痛が生じた場合は、胃アニサキス症が疑われるため、緊急で内視鏡を行います。
胃内をよく洗浄して観察すると、アニサキスが目視できるので、虫体を残らず見つけて、生検鉗子を用いてすべて除去します。
通常、アニサキスは胃粘膜に刺入しているため、その部分の組織ごと虫体を取り除きます。
頭部を残すとアレルギー反応を起こし、痛みがとれない場合があるので注意が必要です。
一人の患者さんから10匹以上のアニサキスが見つかることもありますが、たとえ1匹でも症状は強く出ることが多いです。
虫体さえ除去すれば痛みは消失します。
胃の中に食物がたくさん残っていると虫体を見つけることができません。
胃アニサキス症が疑わしい場合は、食事を摂らずに受診してください。