こんにちは高杉です。
 不眠や気分の落ち込み、不安感が続いて「精神科に行ったほうがいいのかな」と思ったことはありませんか。あるいは「最近の自分はなんだかおかしい気がする」「いままで普通だと思っていたけど周りの人と違う気がする」「体調が悪いのに検査をしても異常がなかった」ーーこんなときにも、心療内科や精神科が頭に浮かぶかもしれません。でも、「病気じゃないかもしれないのに受診してもいいのかな」「どんなことをするのかわからなくて怖い」と躊躇ってしまう方も多いのではないでしょうか。
 当院のHPにもQ&Aを掲載していますが、今回はさらに詳しくお答えしながら、心療内科がどんなところなのかをイメージしていただければと思います。

Q1. 心療内科と精神科はどう違うのですか?
A. 重なる部分が多く、どちらでも扱う症状もたくさんあります。たとえば「不眠」「気分の落ち込み」「不安」などは、心療内科でも精神科でも診療します。心療内科は「体の不調と心の状態のつながり」に焦点を当てやすく、頭痛や胃腸の不調、動悸など「体に出る症状」についても一緒に考えていくことができます。精神科では、統合失調症や双極性障害などの重い精神疾患を専門的に診療することができます。精神科の中には「認知症」「依存症」「トラウマ」「睡眠障害」などを専門的に診る病院もあります。
Q2. 初診ではどんなことをするのですか?
A. まずはじっくりお話を伺い、症状がいつからどのように出ているのか、生活の中で困っていること、これまでの病歴や服薬歴などを確認します。そのうえで、必要に応じて血液検査(ホルモン・代謝・栄養状態の確認)や心電図検査(安全に内服薬を使えるかの確認)を行います。当院では心理検査は行っておりません。初診の段階から、生活習慣の見直しや心理療法、必要に応じて薬物療法を少しずつ始めることもあります。「診断だけして終わり」ではなく、治療に向けた第一歩を一緒に踏み出す時間になります。
Q3. どんな治療をするのですか?
A. 大きく分けて次のような3つの方法があります。
 ① 環境調整:環境(仕事や家庭など)や生活習慣(睡眠や食事、運動など)を調整します
 ② 心理療法:当院ではACTという心理療法を中心に行っています
 ③ 薬物療法:必要に応じて最低限の量から処方します
症状や状況に合わせてこれらを組み合わせ、無理のない方法を一緒に考えていきます。
Q4. 薬はずっと飲み続けることになるのですか?
A. いいえ、薬はあくまで必要な期間だけ使うものです。統合失調症や双極性障害など、継続して内服が必要な病気もありますが、それ以外では長期的に薬を使うことは基本的にありません。症状が安定すれば減量や中止も可能ですし、依存性のある薬は避けて処方しますのでご安心ください。
Q5. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 心療内科でも健康保険が使えます。初診は3割負担で6,000円前後、再診は1,500円前後が目安です(薬代は別途)。長期的な通院が必要な場合には「自立支援医療制度」を利用すると自己負担が1割に軽減されることがあります。
Q6. どんな人が通っているのですか?
A. 気分の落ち込みや強い不安などの「気持ち」の困りごと、疲れが取れない、緊張すると気持ち悪くなってしまうなどの「身体」の困りごと、家庭や職場などにおける「人間関係」の困りごと、先延ばししてしまう、忘れ物が多いなどの「生活」の困りごと、自信が持てない、自分を好きになれないなどの「自己理解」の困りごとーー通院しておられる方の「困りごと」は本当にさまざまです。病気でないと受診してはいけない、ということはありません。「つらい」「困っている」と感じたときに気軽に相談していただいて大丈夫です。少しでもお手伝いできればと思っています。
Q7. 通院はどのくらいのペースになりますか?
A. 初診後は1〜2週間ごとに通っていただくことが多いですが、症状が安定してきたら3〜4週間に1回など、負担の少ないペースに調整していきます。ずっと通い続けなければならないわけではなく、状況に応じて卒業を目指します。症状やご希望によって異なりますが、数年で卒業される方が多い印象です。
Q8. プライバシーは守られますか?
A. はい、診療内容や通院している事実が外部に漏れることは絶対にありません。会社や学校に知られることもありませんのでご安心ください。
Q9. 予約や待ち時間はどうなりますか?
A. 初診は時間をかけてお話を伺うため、1時間前後のお時間を頂いております。再診は比較的短時間(10分前後)で済むことが多いです。混雑状況や検査の内容によっては多少お待ちいただくこともありますが、できるだけ負担が少なくなるように調整しています。
 心療内科は「重い病気の人だけが行く場所」ではありません。体の不調と心の不調が重なり、日常生活に困りごとが出てきたときに、気軽に相談できる場所です。「受診するほどではないかな?」と迷っている方も、まずは一度お話を聞かせてください。小さな一歩が、安心と回復につながることがあります。