こんにちは、髙杉です。今日は、内科のお話をします。

はじめに

いよいよ花粉症のシーズンが始まりましたね。
 
花粉症は、命に関わる病気ではないため、
「ちょっと煩わしいけど我慢すればいい」と思われがちです。
しかし実際には、花粉症による集中力低下や生産性の低下で、
国内で1日あたり約2,450億円もの損失が生じていると推計されています。
これが1シーズン続くと、10兆円を超える規模になります。
 
今回は、花粉症の薬を 
「内服・点鼻・点眼」×「薬の特徴」 という視点で整理し、
それぞれの特徴や使い分けをまとめてみます。

① 内服

【第一世代抗ヒスタミン薬】
〈代表的な薬〉
 ・ レスタミン(ジフェンヒドラミン)
 ・ ポララミン(d-クロルフェニラミンマレイン酸塩)
ヒスタミンをしっかり抑えるため、効果自体は強いのですが、
脳に作用しやすく、眠気・口渇・集中力低下が起こりやすい薬です。
より良い薬が多く開発されている現在においては、 
日常生活や仕事・運転への影響が大きいため、 
花粉症治療の第一選択になることはほとんどありません。
 
【第二世代抗ヒスタミン薬】
〈代表的な薬〉
 ・ アレロック(オロパタジン)   
  〈食事の影響× 眠気〇(運転禁止) 1日2回内服〉
 ・ ザイザル(レボセチリジン)
  〈食事の影響× 眠気〇(運転禁止) 1日1回内服〉
 ・ ビラノア(ビラスチン)  
  〈食事の影響○ 眠気× 1日1回内服〉
 ・ デザレックス(デスロラタジン)
  〈食事の影響× 眠気× 1日1回内服〉
 ・ アレグラ(フェキソフェナジン)
  〈食事の影響× 眠気× 1日2回内服〉
現在の花粉症治療の中心となる薬です。 
「眠くならない」「1日1回で済む」「内服タイミングを気にしなくていい」など、
生活スタイルによってさまざまな薬を選ぶことができます。
効果の感じ方には個人差が大きいのですが、
体感として効果が強いと感じる方が多い順に並べています。
 
【抗ロイコトリエン薬】
〈代表的な薬〉
 ・ キプレス/シングレア(モンテルカスト)
ヒスタミンとは別の経路に作用し、 
特に鼻づまりに効果を発揮します。
抗ヒスタミン薬と追加・併用されることが多い薬です。
 
【交感神経刺激薬】
〈代表的な薬〉
 ・ ディレグラ(フェキソフェナジン・プソイドエフェドリン配合錠)
鼻づまりに即効性がありますが、 
動悸・不眠・血圧上昇などの副作用が起こることがあります。
受験や大会など、どうしても外せないイベントに合わせて
短期間・限定的に使用するようなお薬です。
私の外来では、基本的に2週間までの処方としています。
 
【漢方薬】
〈代表的な薬〉
 ・ 小青竜湯(サラサラの鼻汁、くしゃみに)
 ・ 葛根湯加川芎辛夷(鼻づまり、頭重感に)
体質や症状によって合う人がいる一方、 
すべての人に効くわけではありません。
西洋薬の代替というより、
  補助的な選択肢と考えると分かりやすいと思います。

② 点鼻

点鼻薬は、鼻に直接作用する局所治療です。 
【ステロイド点鼻薬】
〈代表的な薬〉
 ・ ナゾネックス(モメタゾン)
  〈ミストタイプ、刺激感が弱い〉
 ・ エリザス(デキサメタゾンシペシル酸エステル)
  〈粉末タイプ、液だれしない〉
鼻の粘膜の炎症そのものを抑えるため、 
鼻水・くしゃみ・鼻づまりのすべてに効果があります。
全身への影響はほとんどなく、眠気が出ないのが大きな利点です。
鼻を軽くかんでから使うのがポイントです。

③ 点眼

【第二世代抗ヒスタミン点眼】
〈代表的な薬〉
 ・ リボスチン(レボカバスチン) 
  〈1日4回、即効性の体感が強いが刺激感あり〉
 ・ パタノール(オロパタジン) 
  〈1日4回、効果の体感と使用感のバランス〇〉
 ・ アレジオン(エピナスチン) 
  〈1日1回製剤あり、効果の体感はマイルド〉
目のかゆみに対して、
即効性が高く、全身的な副作用もほぼありません。
有効性に差はないとされていますが、
体感や使用感には個人差があるようです。
コンタクトは外して点眼し、5分以上あけてから装着しましょう。
 
【ステロイド点眼】
〈代表的な薬〉
 ・ フルメトロン(フルオロメトロン)
効果は強いですが、 
眼圧上昇などのリスクがあるため、 
眼科で定期的に眼圧測定ができる場合のみ処方可能です。
ステロイド点眼を使う場合、コンタクトの装用は通常中止します。

※その他

内服・点鼻・点眼を適切に組み合わせても、 
十分な効果が得られない重症のスギ花粉症には、
ゾレア(オマリズマブ)という注射薬が検討されます。 
登録施設でのみ使用可能であり、当院では取り扱っておりません。

おわりに

ここまで花粉症治療薬の選び方の話をしてきましたが、
実は花粉症治療でいちばん大切なのは、
どの薬で治療するかではありません。
いつから治療するかです。 
症状がつらくなってから薬を始めるのではなく、 
花粉症が本格的に始まる前に治療を開始することが最重要です。
花粉が大量に飛び始めてからでは、 
どんな薬を使っても「効きが悪い」と感じやすくなります。
 
そして、シーズン中はしっかり治療を続けることも大切。
副作用や治療を続ける煩わしさがあると、
ついつい飲み忘れたり使い忘れたりしてしまいますよね。
自分に合う薬を見つけて、春を楽しみたいものです。
 
今回ご紹介した治療は、いずれも症状を軽くする対症療法ですが、
次回は、花粉症の根本治療とも言える、
舌下免疫療法について説明する予定です。
気になる方は、ぜひ次回も読んでみてください。