ブログ1周年!毎週掲載の裏側
こんにちは、髙杉です。今日は私の日常のお話をします。
はじめに
このブログを週に1本のペースで書き始めて、この10月でちょうど1年になりました。
始めた頃は、診察の合間や休日に机に向かい、テーマを決めるところから、調べ物、文章の仕上げまで、すべて自分の頭と手でやっていました。1本書くのに、およそ3時間。
いちばん時間がかかったのは、実は書く作業ではなく調べ物です。医学的に正しいかどうかを確かめようとすると複数の文献を読むことになり、さらにその文献が信頼できるかどうかを確かめてまわることになります。続くかどうかは心配していませんでしたが、気軽な作業ではありませんでした。
その3時間が、この1年でずいぶん変わりました。変えてくれたのはAIです。ただ、最初からうまく使えたわけではありません。今日は、1年の節目に、私がAIとどう付き合うようになったのかをお話しします。
先に結論をお伝えすると、私の場合、いちばん効いたのは、細かい指示を書き足すことではなく、「手本を見せること」でした。
手打ちから相談、そして手順書へ
最初の変化は、AIのチャット機能を使い始めたことでした。アイデアを相談したり、調べ物を手伝ってもらったり。話し相手になってもらうような使い方です。料理にたとえると、「野菜を切って」「これを炒めて」と、手順を一つずつお願いするような使い方でした。
次の変化は、今年の3月から半年間、AIの活用を学ぶオンラインスクールに通ったことでした。「AIって、こんなことまでできるのか」と驚くことの連続でした。そこで学んだことを応用して、ブログを書く手順と過去の記事を、まとめてAIに覚えさせる「スキル」という仕組みを作りました。いわば、ブログ専用の手順書です。料理でいえば、「この料理を作って」とお願いするだけで、途中で何も指示しなくても、料理が完成する仕組みです。
ところが、作ってはみたものの、最初のうちは、まったく思い通りになりませんでした。それっぽいものはできるけれど、「なんか違う」のです。修正指示を重ねても上手くいかず、結局直接文章を直しているうちに、手打ちよりも時間がかかってしまった、ということもありました。
思い通りにならなかったのは、頼み方の問題でした
「これでは使えないな」と感じたのも、一度や二度ではありません。硬すぎる文章だったり、逆にくだけすぎていたり、私なら選ばない言い回しだったり。論理の組み立てが甘いこともありました。
きっと、同じように感じている方は多いのではないでしょうか。「AIに頼んでみたけれど、思っていたものと違った。これなら自分がやったほうが早い」と。
私が変えたのは、AIが働きやすい環境を整えることでした。料理で考えてみてください。メニューだけ伝えて「いい感じに作って」とお願いしても、思い通りの一皿にはなりません。いま冷蔵庫にどんな材料があるのか、使える調理器具は何か、私にとってどんな味が美味しいのか。そこまで伝えてはじめて、私の口に合う料理ができあがります。AIも同じでした。
そして、あくまで私の実感ですが、その中でいちばん効いたのは、過去に美味しくできた料理のレシピを渡すこと、つまり、過去に書いた記事を見せることでした。
私自身、自分の文章の特徴を、はっきり言葉にできていたわけではありません。ところがAIは、私が自分で書いた過去の記事から、丁寧な語り口であること、読者の心の声を「」で代弁していること、断定を避けてそっと背中を押していることなどを、勝手に拾い出してくれました。自分で言葉にできていなかった「私らしい日本語」を、手本から読み取ってくれたのです。
AIが作る文章の「なんか違う」を解決したのは、まさにここでした。指示を言葉で書き出したことも役に立ちましたが、「こういう文章を書きたい」という実例があると、指示だけのときよりずっと伝わりやすくなりました。
これは、AIに限った話ではないのかもしれません。人に何かをお願いするときも、細かい指示より、「こんなふうに」と実例を1つ見せたほうが、伝わることがあります。
任せたものと、手放さなかったもの
いまは、私がAIにテーマを伝えると、まずはAIが、ブログの内容を深めるために私を質問攻めにしてくれます。音声入力なので、まるでおしゃべりするように、「それは考えたことなかったわ」とか「いやそれは違うでしょ」と、パソコンに話しかけながら答えていきます。質問に答え終わると、構成、下書き、修正を繰り返して完成させるところまで、AIが一気に進めてくれます。
私が手を動かす時間は、カテゴリによって違いますが、内科の記事のように正解があるものなら15分ほど。私自身の個人的な話を入れる日常の記事でも、30分ほどです。
ただ、すべてを預けているわけではありません。
テーマを決めるのは、私です。AIの質問に答えて、材料を出すのも、私です。そして最後に原稿を読んで、内容に責任を持って判断するのも、医師である私です。AIは、書いた内容に疑わしいところがないか、見落としを指摘してくれます。ただ、それは参考に留まり、医学的に正しいかどうかの最終判断は、私がします。
AIは安全網のようなもので、責任を代わってくれるわけではありません。料理でいえば、味見は私の仕事です。AIが作ってくれたものを、最後に自分の舌で確かめてから、皆さんにお出ししています。
もしブログを書くのに3時間かかるままだったとしても、私は1年間続けていたと思います。ただ、医学的な正確さや、言い回しへの配慮といったクオリティは、いまよりずっと低くなっていたはずです。
実は、11月からまた半年間、オンラインAIスクールの上級コースで、より高度な内容を学ぶことになりました。学んだことを、より良いブログ記事と、日々の診療に生かしていけたらと思っています。頑張ります。
読んでくださっている皆さんへ
この1年間、楽しんでブログ執筆を続けてこられたのは、読んでくださる皆さんがいたからです。本当にありがとうございます。
内科や心療内科の記事を読んで、来院してくださる方がいます。私の失敗談を読んで、「この先生なら、自分の失敗も分かってくれそう」と思って来てくださったと聞いたときは、うれしいのと同時に、少しおかしくもなりました。迷ったけど、失敗談を書いておいてよかった、と。
散歩の気持ちよさについて書いた記事を読んで、「自分も散歩を始めました、すごくいいですね」と声をかけてくださった方もいます。おまけのつもりで肩の力を抜いて書いた日常の記事のほうが、案外読んでくださる方の心に残っているようです。
おわりに
ブログをより良くしようと考えるとき、普通は、自分の文章の書き方を磨こうとすると思います。でも私の場合、この1年で変わったのは、AIへの「頼み方」でした。自分の書き方を変えたというより、AIに渡す手がかりを変えたことで、ブログの文章そのものがより良く変わったのだと思います。そして、変わらなかったのは、私が見聞きしていることからテーマを選ぶことと、最後に自分の目で確かめることです。
もし、AIを試して「使えない」と感じたことがある方は、細かな指示を足す前に、「こんなふうに」と思える実例を1つ、渡してみてください。これは、人に頼むときにも、使えるやり方かもしれません。
そして、読んでくださっている皆さん、この1年、ありがとうございました。2年目も、日常→内科→心療内科と3つのカテゴリをローテーションしながら、毎週続けていきたいと思います。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。


