コスパ最強!がん検診をデータで見る
こんにちは、髙杉です。今日は、内科のお話をします。
はじめに
私自身の話ですが、最近前がん病変(がんになる前の段階の病変)が見つかり、手術を受けることになりました。といっても大きな手術ではなく、2泊3日の短期入院、比較的簡単な手術です。しっかり取り切れれば、それで治療は完了する予定です。
自覚症状はまったくなく、体調はいつも通りでした。症状がないのに病気を見つけられたのは、がん検診を受けたからです。もし検診を受けていなければ、この病変は気づかれないまま進行し、数年後には本当の「がん」として見つかっていたかもしれません。
少し仕事をお休みさせていただくことにはなりましたが、がんになってから治療することを考えれば、ずっと少ない負担で済んだとも言えます。
自治体のがん検診は、こうした病気を症状が出る前に見つけるための仕組みです。費用も補助があり、比較的気軽に受けられるようになっています。
とはいえ、「がん」という言葉がついているだけに、「どんな検査をするのだろう」「もし引っかかったらどうなるのだろう」といった不安から、受診をためらってしまう方もいるかもしれません。
そこで今回は、つづきクリニックで受けることができるがん検診について、
-
どんな検査をするのか
-
どのくらい正確な検査なのか
-
もし検査で引っかかったらどうなるのか
といった点を、できるだけわかりやすく説明してみたいと思います。
横浜市がん検診について
最初に、横浜市のがん検診の概要(横浜市HP参照)をご紹介します。
【大腸がん検診】
-
受診回数:1年度に1回
-
対象者:40歳以上
-
費用:無料
【胃がん検診】
-
受診回数:2年度に1回
-
対象者:50歳以上
-
費用:2,500円
【肺がん検診】
-
受診回数:1年度に1回
-
対象者:40歳以上
-
費用:680円
【前立腺がん検診】
-
受診回数:1年度に1回
-
対象者:50歳以上(男性)
-
費用:1,000円
※70歳以上はすべて費用免除になります。
ここからは、それぞれのがん検診について、詳しく説明します。
大腸がん検診
■ どんな検査?
自宅で便を少量採取し、2日分を容器に入れて病院に提出する検査です。「便を採取する」というと抵抗があるかもしれませんが、実際は細い棒で便の表面を軽くつついて、その棒を容器に入れるだけ。とても簡単です。
提出された便の中に、がんやポリープからのわずかな出血による目に見えない血液(潜血)が混じっていないかを調べます。
■ どのくらい正確?
早期大腸がんがあった場合、約70%を便潜血検査で見つけられるとされています。つまり、約3割は検査をすり抜ける可能性があります。完璧ではありませんが、受診によって死亡率を下げる効果が証明されている検診です。
便潜血が陽性になった場合でも、実際に大腸がんが見つかる割合は数%程度とされています。陽性の原因として多いのは、痔やポリープです。
■ 引っかかったらどうなる?
便潜血が陽性の場合は、後日大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で精密検査を行います。大腸内視鏡検査であれば、大腸がんの約95%以上を見つけることができるとされています。
当院でも内視鏡検査を行っており、前がん病変であるポリープが見つかった場合は、その場で切除できることもあります。
胃がん検診
■ どんな検査?
当院の胃がん検診は胃内視鏡(胃カメラ)で行います。当日の絶食が必要です。スプレーで喉の麻酔をして、細い管を口から入れ、管の先についているカメラで胃の粘膜を直接観察します。粘膜の色の変化、わずかな凹凸などの変化が手掛かりになります。
管が身体に入っている時間は通常10分程度。麻酔など準備や検査後の休憩を合わせても、60分弱で終わることがほとんどです。
■ どのくらい正確?
胃がんがあった場合、約95%を検診で見つけられるとされています。他のがん検診と比べると、非常に見逃しの少ない検査であることがわかります。
「要精査」となった場合でも、実際にがんが見つかる割合はやはり数%程度とされています。ほとんどが、胃炎や潰瘍など、良性の変化です。
■ 引っかかったらどうなる?
怪しい部分があれば、その場で「生検(組織検査)」を行います。管の先から小さなハサミを出して粘膜を少量採取し、それを顕微鏡で詳しく検査することで、がんかどうかを確定します。
なお、生検は診断のための検査になるため、保険診療となり、追加費用が発生する場合があります。
肺がん検診
■ どんな検査?
胸部レントゲン(胸部X線)で、肺に異常な影がないかを調べます。着替えを入れても5分ほどで終わります。
■ どのくらい正確?
肺がんがあった場合、約70%を健診で見つけられるとされています。約4人に1人程度は見逃される可能性があるということになります。
「要精査」となった場合でも、実際に肺がんが見つかる割合は数%程度。多くは良性の影や、昔の炎症による古い傷跡です。
■ 引っかかったらどうなる?
異常な影が疑われた場合は、胸部CT検査で詳しく調べます。胸部CTであれば、肺がんの約90%を見つけることができます。
当院にはCT検査の機械がないので、近くの画像検査施設で検査を受けていただき、後日その結果を当院の医師から説明するかたちをとっています。
前立腺がん検診(PSA)
■ どんな検査?
採血による血液検査です。PSA(前立腺特異抗原)を測定します。食事制限などはありません。PSAは前立腺から分泌されるタンパク質で、前立腺がんがある場合に値が上昇することがあります。検診では4.0ng/mlを要精査としています。
■ どのくらい正確?
前立腺癌があった場合、約90%を健診で見つけられるとされています。PSAは年齢が上がると自然と高くなるため、同じ4.0ng/mlを基準にすると、若い人での見逃しが多くなる可能性があります。
「要精査」となった場合に実際に前立腺がんが見つかる割合は、約30%とされています。他のがんに比べると多いですね。多くは前立腺肥大や炎症の影響によるものです。
■ 引っかかったらどうなる?
PSAが高い場合は、基本的に泌尿器科へ紹介となります。そこで、MRI検査や、必要に応じて生検など、精密検査を行います。
より確実に調べたい方へ
公的ながん検診は、限られた医療費の中で多くの人が安全に受けられるように設計された検査です。大腸がん検診(便潜血)と肺がん健診(胸部レントゲン)では、3割のがんは検査をすり抜ける可能性があります。
より確実に調べたい場合には、自費で大腸内視鏡や胸部CTを受けるという選択肢もあります。当院でも自費で検査を行うことができるので、ご相談下さい。
おわりに
ここまで、つづきクリニックで受けることができるがん検診について説明してきました。
公的ながん検診は、すべてのがんを確実に見つけるための検査ではありません。多くの人が安全に受けられる範囲で、命に関わるがんを早い段階で見つけることを目的に設計されています。実際に、これらの検診はがんによる死亡率を下げる効果が証明されています。
そしてもう一つ重要なのは、こうした検査は、自治体の助成により、非常に低い費用で受けられるということです。医療の世界では、ここまでコストパフォーマンスの良い検査はそう多くありません。
案内が届いても、「そのうち受けよう」と思ったままになってしまうことも多いと思います。ですが、仕組みを知ってみると、受けないともったいない検査だと感じていただけるのではないでしょうか。対象年齢にある方は、ぜひ受けてみてください。


