こんにちは、髙杉です。今日は私の日常のお話をします。


はじめに

私はかなり暑さに弱いです。

昔の私は、身体的につらいことも根性で我慢すればよいと思っていました。でも、大きな病気を経験してからは、身体にかかる負担を我慢し続けることは、自分を強くすることとは違うと考えるようになりました。

暑さも同じです。倒れずに仕事を続けることはできても、集中力や判断力、人の話を丁寧に聞く余裕は、少しずつ削られていきます。WHOによると、暑さ指数であるWBGTが20℃を超えると、1℃上昇するごとに仕事の生産性が2〜3%低下するとされています。WBGTは気温だけでなく、湿度や日射、風なども含めた指標です。暑さを我慢しているだけで、思っている以上に仕事の質が落ちる可能性があるということです。

私も、暑かったり汗でべたべたしていたりすると、患者さんの話よりも自分の不快感に意識が向き、頭も働きにくくなります。患者さんにできるだけよい状態で向き合うためにも、暑さ対策は、診療前の大切な準備の一つだと思っています。そんなわけで、昨年はついに4万円もするネッククーラーを買いました。

暑さ対策には、日差しを防ぐもの、実際に身体から熱を逃がすもの、冷たく感じることで不快感を減らすものがあります。もちろん、冷房、水分補給、休憩、炎天下を避けるといった基本的な熱中症対策が大前提です。今回は、それらを行ったうえで、夏を少しでも快適に過ごすために使っている道具を紹介します。


出かける前に、暑さのダメージを減らす

朝、出かける前には、まず日焼け止めを塗ります。私が使っているのは、ビオレUVのアクアリッチシリーズです。

日焼け止めは、今すぐ涼しくするためのものではありません。ただ、日焼けは紫外線によって皮膚に炎症が起きた状態です。赤みや痛み、熱感が残れば、それだけでも身体の負担となり、その後の集中力や活動性にも影響します。

日焼け止めには、もっと防御力が高い製品もあります。でも、べたつきや白残りが強かったり、服に日焼け止めがついたりすると、私はだんだん使わなくなってしまいます。どれだけ性能が高くても、実際に塗らなければ効果はありません。毎日使うものについては、正直なところ、使用感が何よりも大切だと思っています。

洋服には、アイスノンの「シャツミスト ICE KING」を吹きつけています。かなり強い冷感のある衣類用ミストで、駅まで歩いて汗をかいたあと、冷房の効いた電車に乗ると、むしろ寒いくらいに感じることがあります。

ただし、これは衣類用なので、肌に直接吹きかけるものではありません。肌に使うときは、VECUA Honeyの肌用クールミストを使っています。こちらもそれなりにしっかり冷たく感じますが、私には肌に直接使いやすく、爽やかな香りも気に入っています。

メントールの冷感は、強ければ強いほどよいわけではありません。刺激が強すぎたり、ひりひりして不快に感じたりする人もいます。衣類用と肌用を間違えず、自分が心地よく使える強さを選ぶのがよいと思います。


日差しは、服と日傘で遮る

外へ出たら、なるべく日傘を差します。

日傘は、メーカーや値段よりも、こまめに使えることが大切だと思っています。私が使っているのは、形が整いやすく、3秒ほどで畳める晴雨兼用傘です。いつもかばんに入れておけば、突然の雨にも使えますし、短い移動でも面倒がらずに差すことができます。

日傘は、気分的に涼しいだけではありません。環境省の測定では、日向と比べて日傘の下ではWBGTが1〜3℃程度低くなりました。また、人工気象室での実験では、日射を99%以上遮る日傘を使うことで、発汗量が約17%減ったと報告されています。暑くなった身体を後から冷やすよりも、そもそも日射を受けないようにする方が効率的です。

服装も、一日中同じ格好で我慢するのではなく、環境に合わせて変えられると楽になります。日陰や屋内では、肌を覆いすぎず、風が通る服の方が快適です。日本ではタンクトップや短パンを少し気恥ずかしく感じることもありますが、これだけ暑い時期には、体裁よりも体温調節を優先してよいのではないかと、個人的には思っています。

一方、強い直射日光の下では、肌を出すほど涼しいとは限りません。薄くて軽く、風を通しながら日差しを遮る服の方が楽なこともあります。無印良品の「風を通す」生地のシリーズは、肌が覆われていても軽く、風通しがよいので気に入っています。

今年さらに暑くなったら、短パンの上に日よけ用の巻きスカートを重ね、屋外では脚を覆い、電車に乗ったら巻きスカートを外す方法も試してみる予定です。まだ実践していないので、本当に快適かどうかはこれから検証します。


移動中は、体をどう冷やすか

移動中に使っているのが、TORRASのネッククーラーです。昨年、暑さに耐えきれず、ついに4万円くらいするものを買いました。首に冷却プレートが当たり、さらに風も出てくる、かなり高性能な機械です。

昨年はなかなか便利に使えていたのですが、今年は酷暑の屋外で使うと、本体そのものが熱を持つようになってきました。1年使った影響なのか、今年の外気温が高すぎるのかは分かりません。

冷却プレートは確かに冷たいのに、その周りの本体はじんわり熱い。冷却プレートの冷たさと本体の熱さを首元で同時に感じるので、涼しいはずなのに、なんとも言えない変な気持ちになります。それでも、ないよりはかなり涼しく、特に電車に乗ったあとや、夕方になって外気温が少し下がったときには、しっかりと冷たさを感じられます。

ネッククーラーの最大の利点は、充電が残っていれば、必要なときにいつでもまた使えることです。一日外出したあとの帰路でも、スイッチを入れれば再び冷やすことができます。

一方、冷凍庫を使える場所なら、普通の保冷剤がいちばん確実に冷たいような気もします。教会の礼拝堂のように、暑くてもファンを回すと音が気になる場所でも便利です。ただし、保冷剤は冷凍庫から出した瞬間から少しずつぬるくなり、朝から持ち歩くと帰りの通勤には使えません。職場に冷凍庫があるときや、短時間だけ使いたいときは保冷剤、長時間の外出ではネッククーラー、という使い分けをしています。

なお、ハンディファンのように風だけを送る道具は、酷暑ではそれだけに頼らない方がよさそうです。気温が体温に近づくほど、風を当てるだけでは身体を冷やしにくくなります。汗やミストの蒸発を助ける使い方はできますが、気温が非常に高いときは、日陰や冷房の効いた場所へ移動する、皮膚を濡らすなどの対策と組み合わせることが大切です。


汗をかいた後は、仕事モードに戻す

私は仕事の昼休みにランニングをしています。流石に外は走れないので、ジムのトレッドミルを使っていますが、それでも走ったあとは、頭が汗でびしょびしょになり、身体もべたべたしています。

そこで、午後の診察の前にダイアンのクールタイプのドライシャンプーを頭に吹きかけ、身体はビオレの冷タオルで拭いています。汗で濡れた髪や頭皮がさっぱりし、身体のべたつきも取れて、拭いたあともしばらくスースーします。

これらは、熱中症になりかけた身体を治療するための道具ではありません。それでも、暑さやべたつきへの意識を減らし、午後の診療に集中し直すためには十分役立ちます。暑さ対策は、倒れないためだけではなく、やるべきことに集中できる状態を取り戻すためのものでもあると思っています。


帰宅後は、ぬるめの湯と冷感で整える

私は夏でも、毎日湯船に入っています。ただし、温度は少しぬるめにしています。

入浴については、就寝前の温浴が睡眠を助ける可能性があります。17件の研究をまとめた系統的レビューでは、就寝の1〜2時間前に40〜42.5℃程度の入浴やシャワーを10分以上行うことで、入眠までの時間や睡眠効率が改善しました。ただ、夏に熱いお湯へ我慢して入る必要はないと思います。

私は無理のない温度の湯船に入り、バブのクールシリーズの入浴剤を使っています。シャンプーやボディーソープも、夏はクールタイプです。入浴後に軽く冷房の効いた部屋へ入ると、とても涼しく感じます。

こうした製品は、入浴後のほてりやべたつきを減らし、夜を快適に過ごすための仕上げとして使っています。熱中症対策として冷房や水分補給の代わりになるものではありませんが、実際に体温を大きく下げなくても、冷たく感じることで不快感が和らぐなら、十分に役立ちます。


おわりに

暑さを我慢できることと、暑さの中で普段どおりの力を出せることは、別の問題です。

我慢して仕事を続けていても、集中力や判断力、機嫌や余裕は少しずつ削られます。そして、自分のパフォーマンスが落ちたとき、その影響を受けるのは自分だけではありません。患者さんや仕事相手、家族や友人に向けられる集中力や配慮も、少なくなってしまいます。

だから、暑さを避けることは、自分を甘やかすことではありません。周りの人にできるだけよい状態で向き合うために必要な、思いやりなのだと思っています。

今年の夏は、ネッククーラーと保冷剤を使い分けながら、巻きスカートと短パン、保冷剤入りのベストなども試してみる予定です。4万円の機械が普通の保冷剤に負けるのかどうかも、引き続き検証していきたいと思います。

ここで紹介したもの以外にも、皆さんが実践している自分なりの暑さ対策があれば、診察のときにぜひ教えてください。


参考にした資料

  • WHO「Workplace heat stress」:暑熱環境と仕事の生産性について
  • 環境省「日傘の活用推進について」:日傘によるWBGT・発汗量の低減について
  • CDC「About Heat and Your Health」:高温環境での扇風機使用上の注意について
  • Haghayeghら「就寝前の温浴と睡眠に関する系統的レビュー・メタ解析」