大腸内視鏡を行う一番の目的は、ポリープを見つけ、必要があれば切除(切り取る)することです。

胃のポリープはほとんどのものは切除する必要はありません。

胃のポリープと大腸のポリープは何が違うのでしょうか。

胃のポリープにもいろいろありますがほとんどのものは胃底腺ポリープや過形成性のポリープで、原則的にがん化しません。

それに対して大腸のポリープの70%以上はがん化するポリープです。

大腸のポリープで最も多いものが腺腫性のポリープ(腺腫)です。

そして大腸にできるがんは腺がんです。

この腺がんの90%は腺腫が、がん化したものです。

この腺腫からがんが発生する仕組みを腺腫-癌(がん)連関と言います。

もともとは正常な細胞を作るように設計されているところに設計ミスがあり、正常ではない細胞のポリープを作ろうとしてしまうことは多々あるのですが、抑制遺伝子の働きでそれを阻止しているのです。

その抑制遺伝子の変異により腺腫が発生し、徐々に大きくなって少しずつ癌に変化していきます。

小さなポリープが、内視鏡で取れなくなるがんに育つまでには10年前後はかかると言われています。

つまりがんになる前の段階のポリープで見つけて取ってしまえば、がんにならずに済むということです。

大腸内視鏡はポリープを見つけて取ってしまうことが出来ます。

定期的に内視鏡を行っていれば、ほとんど大腸がんにはなりません。

そしてポリープからがんになるまでには何年もかかるわけですから、毎年行う必要もありません。数年に一度大腸内視鏡を行っていれば、大腸がんを予防できるわけです。

検診で行う便潜血反応は便に微細な血液が混じっていないかを見る検査ですが、この便潜血検査で見つかるポリープは30%ほどといわれています。

ポリープがあっても70%の人は便潜血が陰性に出てしまいます。

便潜血検査が陰性である人も、2~3年に一度の大腸内視鏡検査をお勧めします。

決してつらい検査ではありませんので(上手に行えばですが)、皆さんも積極的に大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。そうすれば大腸がんを未然に防ぐことができ、大腸がんにならずに済みます。