インフルエンザとコロナの予防接種ー打つか迷うあなたへー
こんにちは。高杉です。
神奈川県が2025年のインフルエンザ流行シーズン入りを宣言してから、早くも一カ月が経ちました。市内の感染状況が確認できるインターネットサイト「横浜市メディカルダッシュボード」によると、都筑区のインフルエンザ報告数は、10月第4週時点で定点あたり18.00人。9月下旬で3.2人、10月下旬で9.0人と、2週間ごとに倍々以上の速さで増加しており、今後も右肩上がりに推移することが予測されます。 インフルエンザは決して「ただの風邪」ではありません。厚生労働省の医療データベースによれば、毎年およそ1,000万人(12人に1人)がインフルエンザに感染。その中で約60人に1人が入院に至り、約1,100人に1人が28日以内に死亡。関連死も含めれば、年間9,000人前後が命を落としています。さらに、仕事や学校を休むことによる社会全体への影響も大きく、経済損失は年間6,600億円に上るとされています。
ワクチンの効果が現れるまでにはおよそ2週間――打つのであれば、もう迷っていられない時期です。その一方で、「そもそも本当に必要なのかな」と考えながら、打つかどうかを決めかねている方も多いのではないでしょうか。副反応や、わざわざ受診する手間を考えると、誰でもいったんは迷うものです。今回は、ワクチンをためらう理由と、それぞれに対する正しい理解を整理していきましょう。
1. 不安や怖さで迷う人へ
「副作用が怖い」「熱が出たら困る」「注射が苦手」――。
熱や痛みなどの副反応が出るのは、身体がウイルスに備えて免疫を作っている証拠。とはいえ苦しいのは誰だって嫌ですし、こうした不安を持つのはごく自然なことです。実際、インフルエンザワクチン後に発熱するのは約20人に1人と珍しいことではありません。ただし多くは1日程度でおさまり、重い副作用(アナフィラキシーなど)は100万回に1回未満と報告されています。それに、ワクチンの副反応が出る日はある程度自分で決められますが、インフルエンザになる日を決めることはできません。こどもの受験前、仕事の繁忙期、家族旅行前日ーー「絶対に外せないその日」を守るために、1-2日の不調をスケジュールしてみませんか。食べやすい美味しいものを買い込んで、Netflixを一気見するイベントにするのも面白いかもしれません。
2. 効果や安全性に疑問を感じる人へ
「打ってもどうせかかる」「効かない」「薬やワクチンは商売だ」――。そんな声も少なくありません。
確かにワクチンは「完全防御」ではありません。しかし、データが示すのは「重症化を防ぐ力」。インフルエンザワクチンの発症予防効果は40〜60%にとどまりますが、入院や死亡などの重症化予防効果は50〜80%と報告されています。コロナワクチンでは、重症化予防効果は60〜90%に達します。打ってもかかってしまうかもしれないけれど、軽く済ませることができるのです。
3. 自分の免疫力に頼りたい人へ
「自分の体を信じたい」「自然に治したい」という思いは、健康意識が高いからこそ生まれるものです。ただ、ワクチンは「免疫を弱める」ものではありません。むしろ、安全な形で免疫に予行演習をさせる手段です。実際に感染して初めて学習するより、リスクを大幅に減らせます。「自然治癒力 × ワクチン」で、より確かな防御力が得られます。
4. 忙しさや手間で後回しになっている人へ
「打ちたいけど、仕事が忙しくて」「待ち時間が長そう」――。
そんな「時間の壁」で先延ばしになっている方も多いでしょう。つづきクリニックは土曜日も診療しており、忙しい方にも受けやすいようにワクチン専用の受付と会計窓口を設けています。駅から徒歩4分、通常の診察の順番を待つ必要はなく、受付から接種完了まで約10-15分。定期診察のある方は、診察と同時に接種も可能です。「やろうと思ってたけど、つい後回しに…」という方こそ、気軽に受けていただけるよう工夫しています。
5. 周りとの関係や社会全体を考えてみよう
「自分は若いし平気」「周りも打ってない」――。そう思う方も少なくありません。
でも、ワクチンには「まわりを守る力」もあります。感染者が減ると、ウイルスが広がりにくくなる「集団免疫」が働きます。インフルエンザなら人口の60〜70%、新型コロナなら80%前後の人が免疫を持つことで、流行は自然に収束します。一方で、日本では約5〜10%の人が、重いアレルギーや免疫疾患、がん治療中などの理由でワクチンを受けられません。そして、その多くが「インフルエンザにかかったら致命的」という背景を抱えています。そうした人たちを守るためには、まわりの多くの人が免疫を持つことが欠かせません。つまり、あなたの接種は「自分のため」だけでなく、「誰かを守る行動」でもあるのです。
ちなみに私自身も自己免疫疾患の治療をしており、免疫を強く抑えています。病原菌と戦う力を弱めているので、感染するとすぐに重症化してしまい、なかなか治りません。実際にはそうならないように、持病の治療を中断して一時的に免疫力を回復させることが多いのですが、そうすると今度は持病が再発してしまいます。免疫抑制治療を受けている人にとって、インフルエンザやコロナは「感染したら最後、どちらに転んでも命や人生に関わる」病気なのです。幸い私はワクチンを打つことができるので、今年も早々に接種しました。痛かったです。
まとめ
ワクチンを受けるかどうかは、最終的にはあなた自身の選択です。不安や迷いがあって当然ですが、正しい情報を知ることで、安心して選ぶことができます。流行が本格化する前に、データを見直しながら、検討してみてください。
最後に、もう既に打ってくださった方へ。ありがとうございます。医療者としても、免疫抑制治療中の患者としても、心から感謝しています。引き続き、マスクや手洗いなどの感染予防にご協力お願いいたします。
つづきクリニックのワクチン接種案内(2025年11月現在)
インフルエンザ予防接種
・予約不要・当日受付OK
・受付時間: 月~金 14:00~17:50 土曜 9:00~12:00/14:00~16:50
・対象年齢:2歳以上(生後初回を除く)
・料金: ・横浜市在住の65歳以上の方(公費)… 2,300円 ・一般(3歳以上)… 3,500円 ・一般(2歳)… 3,000円
・お支払い:現金のみ
・詳細は つづきクリニックのお知らせページ または 横浜市の公式サイト をご確認ください。
新型コロナワクチン(横浜市公費接種)
・完全予約制(電話予約のみ)
・接種期間:2025年10月1日~2026年2月28日
・対象:横浜市在住の65歳以上の方(60歳以上で重い心臓・腎臓・呼吸器・免疫機能障害をお持ちの方を含む)
・ワクチン:ファイザー「コミナティー JN.1系統(LP.8.1株)」
・自己負担額:7,000円(現金のみ)
・予約枠:水曜・金曜の10:00または11:00
・詳しくは 横浜市「R7 コロナワクチン接種について」 をご覧ください。
(※自費接種をご希望の方は、16歳以上・前回接種から3か月以上経過後に可能です。料金16,000円、要予約。)
参考文献・出典
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厚生労働省:全国医療データベース(NDB)によるインフルエンザ関連死亡・重症化の実態(2022年報告) https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000906106.pdf
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国立感染症研究所:インフルエンザ入院サーベイランス報告(2023/24シーズン) https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/2569-flu-iasrs/12317-flu2023-24.html
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WHO:Influenza (Seasonal) Fact Sheet, updated 2023 https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/influenza-(seasonal)
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関西大学 宮本勝浩名誉教授「インフルエンザの経済損失」報告書(2019) https://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/pressrelease/2019/No59.pdf


