疾患別!生活習慣を悪化させる年末年始の「NG習慣」と「リカバリー術」
こんにちは、髙杉です。今日は内科のお話をします。
はじめに:内科医が見る「魔の季節」
年末年始は、ごちそうやイベントで気分が高まる楽しい時期ですね。しかし、内科医の視点で見ると、生活習慣病が一斉に悪化しやすい「魔の季節」でもあります。血圧、血糖値、コレステロール…普段頑張ってキープしている数値が、たった数日でガタ落ちするのは避けたいはずです。
そこで今日は、疾患別に「年末年始で起こりがちな問題点」と「代わりに取るべき行動」をまとめました。これは、あなたの健康を守る医師からの、ちょっと早めの処方箋です。
第1章:高血圧のあなたへ ― 塩分と寒さにご用心
高血圧の方は、「塩分×寒さ」の組み合わせが血圧を跳ね上げます。年末年始のメニューは、おせちや鍋など、塩分が多くなりがちです。また、脱衣所やトイレの寒さを我慢することは、ヒートショックのリスクにもつながります。
【具体的なリカバリー術】
-
かまぼこや佃煮などのしょっぱい料理はひとくちだけにする。
-
鍋や麺類の汁は残すことを意識する。
-
出汁や薬味(柚子など)を上手く使い、塩分に頼らない食の楽しみかたを見つける。
-
外出はできるだけ昼の暖かい時間帯に。入浴前は脱衣所を温め、しっかりかけ湯をする。
第2章:糖尿病のあなたへ ― 糖質コントロールと「まず動く」
糖尿病の方が避けるべきは、「糖質×運動不足」です。お餅は血糖上昇作用が強く、さらに冬の運動不足が重なると、食後の血糖は急激に上昇します。夜はインスリンの働きが弱くなるため、食べたものが脂肪になりやすい点にも注意が必要です。
【具体的なリカバリー術】
-
「お餅は1個」を基本ルールにする。
-
お餅を食べる前に、野菜やたんぱく質(お雑煮なら鶏肉など)を少しお腹に入れる。
-
「お菓子は手のひらに乗る量だけ」と決めて最初に取り分けておく(ダラダラ食べ防止)。
-
一日のどこかで20分だけでも散歩を入れ、活動量を上げる。
第3章:脂質異常症のあなたへ ― 糖質・脂質・回数のコントロール
コレステロールは、「糖質×脂質×食べる回数」でじわじわ上がります。実は、肝臓は余った糖から脂肪を合成するため、脂質だけでなく糖質の摂りすぎもLDLコレステロールの上昇に関わります。特に、飽和脂肪酸(肉の脂身など)の多い食事が連日続く状態は避けましょう。
【具体的なリカバリー術】
-
「動物性のおかずは1食1種類まで」と決めて、飽和脂肪酸の摂取量を下げる。
-
洋食系より和食系、肉より魚、こってり系よりさっぱり系を選ぶ。
-
たくさん食べてしまった日の翌日は、雑炊、湯豆腐、野菜スープなど、油控えめの温かい軽食に。
第4章:高尿酸血症&痛風のあなたへ ― 飲み物と水分で予防
痛風持ちの方にとって、「プリン体×隠れ脱水」のお正月は魔境です。正月料理はプリン体のフルコースになりやすく、暖房による乾燥や飲酒で脱水が進むと、尿酸値が容赦なく押し上げられます。痛風発作は予防がすべてです。
【具体的なリカバリー術】
-
お酒を飲むときはビール以外のものを選び、同じ量の水を一緒に飲んで脱水を防止。
-
魚卵(いくら・数の子)は大さじ1杯までを目安にする。
-
海藻や野菜をたくさん食べ、尿をアルカリ化して発作を予防する。
第5章:肝機能障害のあなたへ ― 肝臓に休息を
肝臓は、「お酒×夜更かし」にめっぽう弱い臓器です。夜遅くまでの飲み会が重なると、肝臓はダメージを受けるばかりで回復する時間がなくなってしまいます。体調が悪いときに風邪薬を飲んで飲み会に参加するようなコンボも、肝臓にとって大きな負担となります。
【具体的なリカバリー術】
-
「お酒を2日飲んだら1日は休む」というリズムを決める。
-
飲んだ日こそ、しっかり睡眠を確保する。「2次会には行かずに帰る」と周りに宣言しておく。
-
体調が悪いときはごまかさずに休み、アルコールと風邪薬の同時摂取は避ける。
第6章:肥満傾向のあなたへ ― すべての病の土台を防ぐ
体重増加はズバリ「食べすぎ×運動不足」で起こります。クリスマスやお正月は高カロリーなメニューが多い上に、時間があるからとダラダラ食べてしまうのが問題です。肥満は、ほとんどすべての生活習慣病の土台であり、体重が増えると血圧・血糖・脂質などのすべての数値が一気に崩れてしまいます。逆に、痩せるだけで薬が要らなくなることもあります。時間のある年末年始は、普段は忙しくて取り組めない、肥満解消のためのいろいろなことに取り組む良いチャンスです。
【年末年始に取り組みたいこと】
-
カロリー管理アプリをダウンロードして使い始める。
-
低カロリーで栄養のある簡単なメニューを試してみる。
-
怪我をしないようにゆっくりストレッチをしてから、普段よりたくさん運動してみる。
-
毎日続けられる食事管理や運動習慣を見つけて、それを続けることを新年の目標にする。
最終章:すべての人に共通する“3つの必須項目”
どの疾患がある方にも共通して大事な、健康を守る3つの基本行動です。
1. 薬の不足、持参忘れに注意
年始までのぶんの薬が手元にあるか、今週中にしっかり数えておきましょう。旅行の持ち物リストには必ず「薬」を入れて、いまから予備の薬を普段持ち歩くポーチなどに忍ばせておきましょう。飲み忘れ防止のためにリマインダーをかけるのもお勧めです。
2. 年末年始も「毎朝モニタリング」
年末年始だからこそ、毎朝「体重」と「血圧」を測ってみてください。変動を目で確認することで、その日の過ごし方に自然なブレーキがかかります。「増えていてもいい、今日の過ごし方のヒントになる」と思って、思い切って測ってみましょう。
3. 睡眠は「最低6時間」確保
夜更かしは、血圧や血糖だけでなく、食欲ホルモン(グレリンやレプチン)を大きく乱し、ダイレクトに食べすぎにつながります。しっかり寝るだけで、食欲を抑え、気持ちも安定します。
おわりに
年末年始は、大切な人との時間を楽しみ、自分に休息を与えられる大切な期間です。「年末年始だから健康は諦める」でも、「病気だから全部我慢する」でもなく、「楽しみつつ、ちょっとした工夫で早めにリカバリーする」工夫が大切です。あなたの来年の健康が、今年の年末年始から優しくスタートすることを願っています。


